生きる

10年以上患ったうつ病が寛解してなんとか生きてます

自分を大切にできない女はひどい目にあうよ、っていう話(自覚症状なしにセックスへの強い罪悪感を抱いてたらしい変な男に振り回された話)

もう、何十年も前の終わった恋愛のことで、つい最近、ひどく腹が立つことがあった。

他の人との間では一度も経験していない、私にとっては最も辛い恋で、その辛さの意味もよくわからないままだったけど、それでも一週間前までは、「あんな酷い男は許さない」というものでは無かったのだが。あれは、決して許してはいけないレベルのことだったのだと、二十数年もの時を経て今更気付かされた。

 

若く魅力的な肉体を持っていれば、セックスだけを求めて近づいてくる男なんてのはいくらでもいる。その男性が魅力的であったとしても、あまりにもあからさまなのはまともな女性なら避けるだろう。わかりにくい場合もあるけど、「ああ、騙された!」と気づけば傷ついて逃げるわけで、「ああいう男とは二度と関わるものか」ってなるだろう。

それだけで済むはずのものなのに、長い長い間、「あれはいったい何だったのだろう?」と私の中で小さな棘のように残っていたのがこの恋愛だった。

 

その男は、話し上手では無いがどちらかと言えば社交的なタイプだった。ところが、二人でいるとほとんど会話が無い。居心地の悪い空気が流れるばかり。誰に対してもそうなのではなく、私が相手だと特にそうなるのらしい。なんだかさっぱりわからない(今はわかる)のだが、そんなもん、楽しくもなんともないわけで、「つまんないからや~めた!」ってなるのが当たり前なんだけど、そうはならない。何故かお互いにそれに耐えながら、2年くらいは付き合った。

 

一緒に居て全く楽しくもなんともないというのに、この人はおそらく、私の人生で最も記憶に残る人の2番めで、もし、その1番目の人がいなかったなら思うとゾッとしてしまうのだが。

この人との関係には、私が相手に自分の父親を投影していたということがネックになっているのだろうと、そこまではなんとなくわかっていた。父は非常に無口な男である。まあ、誰に対しても無口なので、似ているとかいうことはないが。

ただ、気分を害したときの態度がとても良く似ていた。何を言うでもなく、暴力を振るうわけでもないのだが、ゾッとするような冷たい空気を放つ。これは未だに受け入れることのできない(そんなもん受け入れちゃいかんし)父の最も嫌な面だ。そして、この共通点のために、私はドツボにはまったということになる。その光景というのは、自分にとってとても馴染みのある、記憶の芯の一部なのだから。(ふつーなら、「何なのこの人怖い、嫌だ」ってなるはず)

他人から、自分が何にもしていないのに「ゾットするような冷たい空気」なんか放たれたら、普通、そんな相手からは遠ざかる。でも、そんなことをする人にわざわざ惹きつけられるというのは要するに、DVな父のもとで育つと何故か付き合う男がDV男、てのと同じ構図なわけだ。

父が全く私を愛していないということはどうやら無さそうではあるけれど、可愛がられた記憶などは一切無いし、そもそも父の1メートル圏内にいるだけで居心地が悪く、身体的な接触をした記憶も無い。これが私の異性モデルなのであるから、そりゃ、色々と問題が起こるのは目に見えているようなもんである。愛情表現の豊かな男性と付き合っている分には何も問題は無いのだが、それが下手な相手だと萎縮して自分らしくいられない。そして、そういうものを得られないのは何か自分のほうに問題があるように思い込み、自分を責めたり自らに要らぬ努力を強いたりするのだ。そして、当然のように、そういう男性の方により強く惹かれたりするんだよね。しょうもないけど。(さすがにもう卒業したからいいけど)

親にそんなつもりはなくても、こういうものが子供の内に「自分には愛される資格が無いのでは無いか」という欠落を生んでしまうというのはよくあることらしい。そして、「もし愛情表現の下手な相手からそれを引き出すことができれば自分が救われる」とか、そういう呪いのようなものにかかってしまっているのである。(下手なものが上手になることは無いので、完全に無理ゲー。この無理ゲーにはまって結婚に失敗した。)

さらに問題なのは、「自分には父親に愛されているという実感がまるでないのだけど、それでも父は私を愛しているのらしい」ってことになるので、「自分を愛していない男」と「愛してはいるんだけど表現の下手な男」との見分けがつかなくなってしまっているわけで。

で、その男は別に私を全く好きで無いってことも無かったのだろうけど、誠実とは言えなかった。そもそもこの人は本気で女性を好きになることがあるんだろうか?ってな感じなのだけれども。けっこういるよね、そういう人。父もたぶんそれだと思うが。

しかし、それだけでは常に二人で押し黙っていたことの謎は解けない。

 

とにかく、ただただ黙っているなんて、よほど心の通じ合った相手ならそういうのもあるんだろうが、付き合ってすぐからそうなんだから、苦痛でしか無い。それでもセックスはするわけで、それだけはしゃべらなくて済むから楽っちゃ楽だ。こんなことをしていたら、「この関係にセックス以外になにかあるの?」って女のほうがより苦しむのは当たり前。

この沈黙について、彼の方は「過大評価して愛されることが苦痛だった」と結論していたようで、「う~ん、そうなのかなあ」なんて思ってたんだけど。しかし、そうではなかったのだと思う。私の側に何かあるとしたら、彼に対しての過大評価というようなものではなくて、「私のなんだかよくわからない愛情にまつわる問題を、この人なら解決してくれるんじゃなかろうか」という期待だろう。そんな期待は無いのに越したことはないけど、相手にとってそんなに苦痛となるようなものだろうか?そもそも、私は別段そんなような態度は取っちゃいないのだ。過大評価しているような発言なんかも覚えがないし、敬い慕うような態度なんてしていない。過剰にかまうわけでも尽くすわけでもない、特別に何か要求することもない。要求しないことを過大評価だと思ったのだろうか?怖くて要求なんてできなかっただけなのだけど。私はただ、苦しんでいて、そして、それでもこの人が好きでしょうがない(だから自分からは別れられない)っていう、それだけのことなんだけれど。それで、なんだかいつも暗かったので、その暗さが嫌っていうんならわかるんだけど、そりゃお互い様の謎なわけだし、そもそも私は他の人に対してそんなふうに暗くなったりはしないのでなんだかわからない。

それでも、彼が無言になるのは何か私が悪いのかな~、どうしたらいいんだろう、なんてことばかり考えていて、何もできずにいた。そして、なんでこの人に対してだけは、私まで口をつぐんでしまうんだろうと、それもどうしてもわからなかった。(相手があんまり反応をしないでいたら誰だって話す気がなくなるわけで、そんなの当たり前なんだけど、そんなことにも気づけないんだから困ったもんだ)

あんまり思い悩んでいると思考がおかしくなってくるもので、「何を話しても意味がないような気がする」ということに特別な繋がりを見ようとしたりする(それが過大評価?)ことにもなってしまって、どうにも逃れられなくなっていた。(早く見切りをつけて逃げろ~~~!)

 

そんな感じでまあ、2年が経ち、終わるべくして終わったのだけど、これが、濃厚な付き合いはこの2年間だけだが、それ以外にも色々あったのだ。最初の出会いからしばらくは、完全に彼が本気じゃない感じの付き合いがやはり2年くらいだろうか。月に一回も会っていなかったと思う。これは完全に「体だけのお付き合い」だというのがわかってしていたことなので、好きなんだけど向こうが好きじゃないんだから、それでも会っていたかったんだから自分の責任、ってことで、辛いのは辛いが仕方ない。(普通はやらんけど)

まあ、それにしてもこの時期の彼の態度というのはかなりキツくて、こちらがなんにもしていないのに不機嫌を表に出すことがよくあり、浅い付き合いにしちゃあ、かなり苦しんだ。中にはフラッシュバックを繰り返すほどのわけのわからない恐怖を味わったこともあった。(これだけでもう十分、二度と近づいちゃいけない奴なんだけどね!)

その数年後に、「あの時は頭がおかしくなってた。ほんとうに酷いことをした。」みたいなことを言ってきて、あらためて付き合いたいと言われた。この時は、私には新しい人がいたので、迷ったけれど(迷うな!)退けた。

さらにまたその数年後、誘われることになる。この時も同じ彼がいたのだけど、どうにも気になって、その彼と別れてまでそっちへ行ってしまった。(行くなよーーー!!!)で、2年間ほど付き合うと。

なんだかんだで10年以上翻弄されたわけだ。17歳から28歳まで・・・なんということでしょうねえ・・・・・。

まあ、それでも、なんだかわからないけど終わることは終わったわけで。なんとなくいつまでも引っかかり続ける人ではあったとはいえ、ずっと好きでい続けたなんてことはさすがに無い。徐々に思い出すことも無くなっていった。

それが、である。その別れから20年も経って突然メールが届く。「死ぬまでに会っておきたい人のひとり」だとか何だとか。なんで私がこの人のそんなもんにノミネートされてるんだろ?この頃は再発したうつがなんとか治りかけていた時で、とてもじゃないがそんなめんどくさい人と合う気にはなれず、そもそも彼のメールを読んでみても今更会う意味もわからないので、やんわりと断る。

そして(笑・・・もう笑けてくるわ)そっからまた6年とか経った今、またメールが来たんである。別れた男女の関係で、そんなのってあるか?ほとんど気味が悪い。読まずに削除しようかとも思ったけど、前のメールで、ネットに上げた私の文章を褒めていたりとか、二人の関係を振り返って謝っていたりとか、そういうこともあったので、「いつまでもこだわってるって思われるのもなんだかなあ・・・」と、一応読んで、近況を返信。すると、「やはり会って声を聞きたいと思います。」って・・・・断るのもなんだかなあ、行くだけ行くか。まあ、さすがに二人とも十分すぎるくらいに大人になってるわけで、世間話とかするくらいなら押し黙ることもないし。つって、会ってきた。

まあ、その約束からなんか変ではあったけど。

まるでデートみたいなスケジュールなんだよな。午後2時集合って何?さすがに意味わからんと思って。「へ?昼間の2時ですか?どういうスケジュールなんだよ。まあいいや、じゃ、~~あたりで一度電話入れます」と返信すると、「4時半くらいでもいいけどどうします?」と。4時半もどうかと思うんだが、とりあえずそっちにした。

当日はほぼ世間話で、別にふつうに楽しかったよ。ただ、昔のことはごめん、みたいなことを何度か言ってたけど。なにをどうゴメンなのかいまいちよくわかんないんだけど、散々苦しんだ末に結局、他の女性と関係が始まって振られるってやつなので、まあ、そういうことかなと。「もういいよべつに。ものすごく嫌なやつだったとか、そういうふうには思ってないし。」とか言った。

あと、笑・・・、最後に家に来てとか、ケーキ用意してあるとか・・・・なんじゃそりゃ、なんだけど「別に悪さはしませんから~」っていう。余計意味がわからんけど。結局、なんだか時間の経つのが早くて、気づいたら11時で、そんな時間は無くなった。

のだが、帰りがけに不意打ちで軽くキスされるっていうね・・・・・・。これが他の人なら即座に「何考えてんだよばっかじゃね~の!」ってなるんだが、元々、何年付き合ってもそんな親密さは得られなかったわけで、なんか、言えねえの。頭が「???」ってなるだけ。なんだかやっぱこの人には弱いなー、まあいいや、それ以上とかは絶対に無いから。もし向こうにあったって断固拒否するし。

「くちびるやらかい~。満足した~。」

・・・・ハア・・・・・?。(ハア?、じゃなくて、キモっ!だよまともな反応は!)

50過ぎた男女が路チューだってよ、キモいよ・・・・。

私、ほぼ社交辞令でその前に「じゃ、また今度。」って言ってたんだけど。(ケーキが・・・とか言ってるんで面倒だし)まあ、世間話するくらいだったら、向こうが誘うなら来ないでもないかな、くらいの気持ちで。

ここまで書いてて自分の鈍さに驚くけど、「今更そんなのあるはずがない」って思い込んでいるもんで、さっぱり何も見えていない・・・・。

最後に「じゃ、2週間後くらいに」って。さすがにこれには即座に反応。「2週間はキツイわ!」「じゃ、適度な距離感で」とか言って握手される・・・・なんなんでしょうか・・・・・こうやって思い起こすとやはり、ものすごく気味が悪い。。。。やっぱ、「あわよくば付き合うところまで持っていきたい」だったんだろうなあ。ありえねえ。。。。

色々ごちそうになったもんで、翌日に一応、「いろいろありがとう。ごちそうさまでした。」とだけメールした。「楽しかったです」とは書けなかったので濁したつもり。

で、その2日後に、返信が来る。長いやつが。

 

こっからがやっとメインだよ。前置き長いけど。

 

 私にとってこの人は「どういうわけだか辛い付き合いだったけど、恨みが残るようなものではない、別に、おかしな男にいいように扱われて騙されたわけじゃない。変なやつだが別に悪人じゃない」だったわけなんだが、

そういう「普通の人」前提で読むと全く意味のつかめない文章。なんだか、表面、美しい文面なのだが・・・・・。いちいちひっかかる。

「(略)あなたの私への過大評価のようなものが私には辛く、結局他の女性の方に向いてしまって、自分の精神状態を守る意味でそれは正解だったけれど、あなたを 裏切ってしまったという後悔のようなものがあります」みたいなのがひとつ。

えーっと。まあ、いいけど。(良くないけど)私が一番つらかったのは、「他の女性の方へ行った」ことそのものではない。それだけなら男女の間ではよくある話だ。それよりもかなり前の段階で、私は「しんどいから別れたい」と言っていた。「そんな必要ないよ」と言われ、引き下がった。

そういうことがあったので、「結局こういうことが原因で終わるんなら、なんであの時に引き止めたのか」と、納得がいかなかった。しかも、それを言ったら、彼の方は「全然覚えてない」と・・・・。

愕然としたね。私の切実な訴えを退けておいて、しかもそれを覚えてもいないのか。

この不誠実にとても傷つけられた。いまさらでも、謝るのならそこを謝ってほしいもんだ。

ていうか、別れ話の時にそう話したことも今忘れてるんだから、2回も忘れられたわけなんだよね。この人、私の気持ちとか、全く考えたこと無いってことだ。それでまたこんな年齢になって寄りを戻すような気持ちがあるのだとしたら、私のことをどこまで舐めているんだろうか。それだけでも不快極まりない。

それだけなら(それだけでもひどい話だが)まだ、いい・・・・・・。

その後に続く言葉は・・・・・・・・・・

 

「私が〇〇さんのことを忘れられなかったのは、お恥ずかしい話ですが、あなたの肉体が私にとってspecialなものだったからです。」

さらに続く。

「このまま肉欲に溺れてあなたを好き勝手に扱ってしまっていいのだろうかという思いもありました。」

なんなんでしょうかこれは。この人、これで、反省しているつもりなんですよ・・・・・。

こんなこと、女性に言う人、いますか?

 

そもそも私には「肉欲に溺れた」記憶など全く無いんです。ふつーにセックスしてただけです。それもかなり淡白な。(苦笑)

肉欲って、一人で溺れられるんですかね?二人で溺れるものでしょ?でも、この人は一人で溺れていたんですね。それって、もはやセックスじゃないですね。私の体をわざわざ使った自慰行為に耽って、たった一人で自分の欲望に溺れていたんですよね。

この意味に気づいて、(すぐに気づかない、しばらくは文面の意味がわからなかった)ものすごい気持ちの悪さと怒りとに襲われました。何十年前のことでも、これ、許しちゃいけないやつだ・・・・。ていうか、ほんと、気持ち悪いし穢らわしい!!!!

 

こんなもんじゃない。さらに続く。(読み返したくないので思い出せる範囲で要約して書いてます)

 

今回あなたとkissをして、やはり私の原点はここにあるのだ、それを信じていけない理由などないのだと確信しました。私にとって〇〇さんはさらに輝ける星となったのです。(略)神なるものを思わずにはいられません。

 

気持ち悪いでしょっっ!!!!!!ていうか、もう、怖いよ・・・・・・。

酔っ払ってんのラリってんのなんなの???????気が狂ってるの?

私達の間に愛情の交流なんて、なんにも無かったんですよ。

なのに、原点ですって・・・・この人、人を愛したことが無いのは間違いないね・・・・。

 

まあ、でも、私、この意味がわかっちゃったんですよ・・・・・・。

なんか、「肉体的な欲望を肯定してもいいんだ」と思ったら、ハイになっちゃったんですね・・・・。

ていうことはつまり、彼は、もう、60歳近いと言うのに、ずっと、セックスに対して罪悪感をいだき続けていたってことなんですよ。イッタイカレニナニガアッタンデショウカ???知りたくもないけどさー。性的虐待のような類のことでもなきゃこんな事にならんと思うんだが。しらんけど。

 まあ、知らんけど、こんなもの、読まされたほうはたまったもんじゃない・・・・。気持ち悪いやら悔しいやら。私は体と心と合わせて初めて私だよ。体のことばっか書いて、私の内面については無視して、それでこんなに盛り上がれるって一体どういう奴なんだよ!

 

でも、これで、全ての謎が解けたんです。

彼はセックスに大きな罪悪感があった。自覚はしていない。

そこに私という、彼にとってセックスアピールナンバーワンの女性が現れ、その女性にに愛された。普通なら嬉しくてたまんないようなもんだが、彼はものすごく混乱しちゃったんだよね。

私とセックスをするのはとても気持ち良いのだけど、specialに気持ちが良いだけに、ひどく罪悪感に苛まれちゃうわけ。だから、セックスのある関係の中で彼は沈黙するしかなくなる。必死で自分の欲望から目をそらそうとする。「気持ちよかったね、良かったね」なんて絶対に思っちゃいけない、言えないことなんだろう。で、常に無言。怖いわ。

橋本治って作家の発言に「男は自分の欲望を直視すると無言になる」というのがあって、彼はゲイなので、そういう光景を目にすることがあるのだろう。ノンケの男がうっかり男に欲情しちゃった時とかに。押し黙るのだろう。ありそうな気がする。

要するに、私を映し鏡のようにして、自分自身の欲望を見つめることになっちゃう。これが彼には苦しかったと。・・・・もう、全然私、悪くないのね。関係ないのね。私の意の及ばない彼の内面で起きていることなんだから。なんの責任も無いのよね。

でもさ、セックスの関係になった途端に押し黙られたら、もう、こっちはなんだかわからなくて怖いわけよ。怖いから、緊張してしゃべれなくなるし、挙動もおかしくなるのね。こっちはこっちで自分の事情で彼から離れられず「怖いからヤダ!」って逃げられないっていう。もう、最悪だわ。で、こっちがそうなれば、向こうもそんな緊張バリバリの相手に心なんか開けない。こんなもん、どうにもならんわ。で、彼は彼で、私とセックスしたくて別れられないのね。でもこれ、お互い様じゃ済まないよね、女のほうが何倍も辛いわよね・・・・・。

それを、「あなたの私への過大評価」で片付けちゃって、酷すぎるわ。そっちの個人的、内面的な葛藤じゃん。私に関係ないじゃん。わたしのせいにしないでよ!私は、たまたま彼の好みのタイプだっただけじゃん。

女性が恋愛相手に父親を投影するなんて、よくあることじゃん。健全な投影ではなかったかもしれないけど。それだけでおかしくなるような男なんか他にいなかったし。あなただけが変だったんだよ。鏡に映る自分の姿が辛いって、そんな人滅多にいないし、わからんよ、そんなの。私、ほんと、関係ない。。。。。。

いやもうほんと。「あなたはすっごく僕のタイプだからセックスしたくてたまらない」とかアホなこと言ってくる男にはまだそれなりの可愛らしさってもんがある。相手にしたところでこんなもんはすぐに飽きるから、大したことにはならない。それに、そっちの欲望が始まりでも、徐々に本当に互いに惹かれ合うっていうのは普通に起こるもんだ。罪悪感のブレーキを踏みながら欲望のアクセル蒸してるなんて意味わからないし、そんな厄介なもの、扱えるわけがない。

まあ、そんなことがわかったところで、このメールは、わかりやすくまとめると、「過去にはあなたの体だけが好きで付き合い続けてしまいました。でも、それは私にとって決して間違っていなかった。」とか言って一人で感激している文章で、完全に人格を疑うレベル。ものすごく独りよがりで相手のことなんか全く考えていない、愛なんかひとかけらもないただただ穢らわしいものなわけ。こんなもん送りつけるやつ、絶対許しちゃいけない。ましてや、ものすごく苦しめられた末に、私が別れたいというのを拒否したくせにそんなことは覚えてもいなくて、彼いわく”すっごくバカでしょうもないやつなんだけど楽”な女性とダブって付き合い始め、こっちが気づいているのも知らずに子供まで作って別れを切り出した。とにかく、どこをどう切り取っても最低なことしか出てこない。いくら自分がバカだったとしても、こんなもん、絶対に許しちゃいかんわ。

もう、30年近く昔の付き合いのことなのに、一週間くらいはずっと怒りが収まらなかった。まあ、怒りの返信(と言っても恨み言とかでなく、わりと冷静に彼の送りつけたものを理路整然と指摘したもの)はしたのである。

自分の気持ちの整理がつかず、時間をおいて3通になった。

その最後のメールがこちら。

 

もうこれっきりなので、やはりとどめは刺しておこうと。
人間って自分の見たくないものは見ないので。
私も直視したくない現実から目を背けていた、でも気づいた、
なのであなたもきちんと見つめてください。
 
橋本治がこう書いていた。
「男は自分の欲望を直視すると無言になる」
これですね。
私を映し鏡にしてあなたが見ていたのは。
それを見せつけられるのが苦しかっただけですね。
私は、
「この関係にセックス以外に何かあるんだろうか?」
と苦しんでいて、それを認めるのがとても怖かっただけなのだとわかりました。
あなたにとっては、責められているように感じてキツかったんでしょうね。
 
さらに、
やっぱり、あなたは自分をまるごと肯定されることが苦しいんですね。
自分にとって都合の良い部分しか見ていない相手といるときっと楽なんでしょう。
私、なんにも悪くなかったんですね。
どこか自分が悪いのかと思っていたけれど。
 
今回、あなたがうっかりと本音を暴露してしまったことで、
(どれだけ私をバカにしているんだか。。。)
私には、自分があなたにとってただの肉塊に過ぎなかったという、
辛い現実を見てしまうことになりましたが、
謎が解けたのですっきりしました。
過去のことはとりかえしがつかないけど、
そもそも私はただの肉塊なんかじゃないし、けっこう心も美しく頭も良いほうなので、
今更そんなことで傷ついたりしません。
 
私は、言ったように、
「本当に根性の腐った人間ではない」前提であなたを見ていたのだけど、
どうやら違ったようです。
女性に対してそういう醜い仕打ちをしておきながら、
いけしゃあしゃあとまた目の前に現れることができるんですから。
私も舐められたもんです。屈辱以外の何物でもない。
あなたは自分のしたことはわかっているわけで、
だから罪悪感を抱いていたんですね。
私はそういうことにピンとこないことがあります。
正直で誠実な人間なので、そうでない人間を見破るのが苦手です。
 
まあ、そういう人もいるんでしょうから、
別にいいんじゃないですか。
女性に対する誠実さだけが全てでは無いので。
セックス目的で近づいてくるだけの男なんていくらでもいるけど、
罪悪感のブレーキと欲望のアクセルを踏みながら、ってのはかなり珍しいね。
欲望むき出しタイプにはまだそれなりの可愛らしさがあるもんだ。相手にしないけど。
 
罵詈雑言や恨み言を浴びせる気はありません。
ひどい仕打ちを受けたら、
それを理路整然と指摘してやるのも、
弱い人間のひとつの武器です。
響くかどうか知りませんけど。
 
どうぞお幸せに。
 
 
ほんとうに、どう受け止めるかしらんけど、
私を怒らせるとこういう攻撃が来るのだ。怖いだろ。
優しいと思って舐めるなよ!
我ながらなかなか良く出来てると思うね。
 
男親は娘のことはちゃんと可愛がって育ててやらにゃいかんよ。
でないと、娘が、こんなろくでもない男にかまけて、若い時期を無益に苦しんで費やすことになったりもするんだぜ。
まあ、それもまた人生だけどさ。
 
追記:
怒りが完全に収まったところで、やはりこの気味の悪さは尋常じゃないと。
人格的に問題があったとしても、舞い上がったような文章を書くような人ではなかったはずで、もしかしたら精神的に病んでるのかもしれない。
昨年、アルコールの過剰摂取と不規則な生活から精神離脱症状が出るということがあったらしく、その時は幻覚幻聴がすごかったらしい。
短期的なもので、入院してすぐに収まって、今は何でもないって話だったけど・・・・
なんでもなくもないんじゃなかろうか・・・・。
アルコールの毒性によって脳のどこかが破壊されておかしくなっているのだとしたら、
物理的な障害があることで、かなり回復が難しいものだと思う。
ま、だとしても知らんけどさ。
ほんと、「どうぞお幸せに(もう私には関係ないので)」だよ。